阿房宮の賦


	晩唐の詩人杜牧が作詞した阿房宮の賦とその関連記事を紹介しています。さらに下の方には追加として違う賦(前赤壁の賦を紹介しております(ここで皆様はわたくしがわざわざ、昔の訓点の画像を使用してさらにこれはオペレーションシステムの性質で仕方ないのでありますが横書きの訓読と口語訳を書いているのかをいぶかしく思われるかもしれません、そして実は色々な漢文をこうして紹介しております。その本当の目的は漢字は言語学上、孤立語、中国語の特性、単音語と言いまし一つの文字が深い意味を持っている場合が有り一文字自体一つの文章が、美と私は考えております。また対句と申しまして縦書きにすると対になっている言葉が多く見られます。したがって本来縦に書いた方が自然な言葉の様に私は思います。色紙で　愛　とか一字書いてあるものも有りますが英語の色紙で　Ｉ　と書いてある物は有りません。また縦書きを御紹介しないと文字の連綿といったような表現の道が閉ざされてしまいます。古より今に伝わる国宝級の美術品の書も漢字の持つ一つの性質にきずかなければ成立いたしません誰も毎日使い毎日見ていながらそれを指摘する人は居ませんでした。美は隣に有るのに申し訳ありませんがそういうわけで昔の訓点の写真の掲載をお許し願いたいのです。)

	上の右は阿房宮の賦の作者杜牧の画像、右は木村武山の描いた阿房劫火の図　下のフレーム内はウィキッペデアの阿房宮の記事

	阿房宮の賦


	阿房宮の賦　書き下し文
	六王畢（おわ）って、四海一なり。蜀山兀（ごつ）として、阿房出づ。二百餘里を覆壓（ふうあつ）して、天日を隔離す。驪山　北に構へて西に折れ、直ちに咸陽に走（おもむ）く。二川(にせん)溶溶として、流れて宮牆(きゅうしょう)に入る。五?に一樓、十?に一閣。廊腰(ろうよう)縵く(ゆるく)迴りて、簷牙（えんが：軒先に突き出た垂木の端）高く啄（ついば）む。各（おの）おの地勢を抱（いだ）いて、鉤心?角（とうかく）せり。盤盤焉（えん）たり、??（きんきん）焉（えん）たり。　蜂房　水渦、矗（ちょく）として幾千萬落なるかを知らず。長橋の波に臥（ふ）すは、未だ雲あらざるに何の龍ぞ。複道の空を行くは、霽（は）れざるに何の虹ぞ。高低　冥迷として、西東を知らず。歌臺(かだい)の暖響は、春光融融たり。舞殿の冷袖(れいしゅう)は、風雨淒淒(せいせい)たり。一日の内、一つの宮の間にして、氣候齊（ひと）しからず。妃嬪（ひひん）??（ようしゃう：女官）、王皇孫、樓を辭し殿を下りて、輦（れん、輦車に乗る）して秦に來（きた）る。朝歌（ちょうや）夜絃して、秦の宮人と為れり。明星の??（けいけい）たるは、粧鏡（化粧の鏡）を開く也。�躅澄糞椽�燭舛遼④�聞�院砲両饐顱覆爾Δ爾ΑГ笋錣蕕�覆気沺砲燭襪蓮�ⅱァ覆欧Δ�鵝Э乙�④陵陲貳院砲鰮燹覆�靴韻此砲詭蕁�藁�怜掘覆△屬蕁砲鰤�覆澆覆�砲蕕垢蓮∋蘓紊魎�弔詭蕁１貅个瓩北�陲燭呂襪蓮∠ネ�覆擦Δ蕕鵝Ч瓩蠅領匹な欧㌍�砲鯤欧�蕁Ｍ謳宗覆蕕い討ぁ� 乍（たちま）ち驚くは、宮車の過ぐる也。轆轆（ろくろく：ごろごろ）として遠く聽き、杳（やう）として其の之（ゆ）く所を知らざる也。一肌（き）一容、態（たい）を盡(つくし)?（けん：美しさ）を極め、縵（ひさ）しく立ち遠くを視て、幸（みゆき：寵愛）を望む。見（まみ）ゆるを得ざる者有り、三十六年。燕、趙之收藏（財宝）、韓、魏之經營（宝物）、齊、楚之精英（選りすぐりの品々）、幾世幾年にして、其の人（たみ）より剽掠（へうりゃく：劫奪）し、倚疊（いでふ：もたせかけ、積み重ねる）して山の如し。一旦に其の�蠅僕◆覆い拭砲経圈覆④拭砲襦Ｅい�董覆覆戞法ゞ未論弌�發浪堯覆弔舛�譟法ー遏覆燭沺砲��魁覆④討①Т�討襦砲靴�??（りい：綿々と連なる）たり。秦人（ひと）之を視るも、亦た甚だしくは惜しまず。　　嗟乎、一人之心は、千萬人之心也。秦　紛奢（豪華・奢侈）を愛せば、人（たみ）も亦た其の家を念（おも）ふ。奈何ぞ之を取ること錙銖（ししゅ：微量）を盡くして、之を用うること泥沙の如くする。棟（むなぎ）を負ふ之柱をして、南畝（農地）之農夫よりも多く、梁（はり）を架くる之椽（たるき）をして、機上之工女よりも多く、釘頭の??たるをして、 ?（くら）に在る之粟粒よりも多く、瓦縫（がほう：瓦の継ぎ目）の參差（しんし：入り乱れて交錯する）たるをして、周身（全身）之帛縷（はくる：絹の糸筋）よりも多く、直欄�鞆�塀腸�墨△覆觴蠕△蝓砲鬚靴董�綸據蔽羚饒甘據貿珪覲圓茲蠅眤燭��標勝焚山據砲林�?（おうあ：乱雑で騒々しい）たるをして、市人（しじん：市に集まる人）之言語よりも多からしむ。天下之人をして、敢へて言はずして敢へて怒らしむ。獨夫（民心を失った暴君）之心は、日に益（ます）ます驕固（けうこ：驕り頑な）なり。戍卒（じゅそつ：辺境を守る兵卒）叫んで函谷舉がる（函谷関が陥落する）。楚人の一炬に、憐れむ可し焦土たり。嗚呼、六國（中国戦国時代末期の齊、楚、燕、韓、魏、趙の六国）を滅す者は、六國也、秦に非ざる也。秦を族（一族皆殺し）する者は、秦也、天下に非ざる也。嗟夫（ああ）、使し六國各（おの）おの其の人（たみ）を愛せば、則ち以て秦を拒（ふせ）ぐに足らん。秦復た六國之人（たみ）を愛さば、則ち三世より遞（たが）いにして萬世に至りて君為（た）る可し、誰か得て族滅せんや。　秦人（しんひと）は自ら哀しむに暇（いとま）あらずして、後の人、之を哀しむ。後の人之を哀しみて、之に鑑（かんがみ）ざれば、亦た後の人をして復た後の人を哀しましめん。
	阿房宮の賦　口語文　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　俊介訳
	六国の諸王の時代は終わって、天下は秦の始皇帝によって統一された。蜀の山は裸となり、阿房宮は出現した。宮殿は二百餘里を覆い、屋根が日を遮った。驪山の北に作られて西に折れ、そのまま宮殿は直ちに咸陽におもむく。二つの川は豊かに流れて宮殿に入る。5歩めば高い楼閣が、10歩めば2階建ての建物が有る。渡り廊下は建物をゆるやかに迴って、軒先に突き出た垂木の端は高く何かをついばむ感が有る。建物は各々の地勢に随って建ち、かぎ状の尖った楼閣の頂きは高さを競っている建物は屈折して曲がりくねって並ぶ。　蜂の巣と水の渦の様に多く高くそびえて幾千萬の殿堂が有るか解らない。渭水にかけた長い橋の波の上に横たわるのは、雲もないのに何の龍だろうか。2階建ての廊下空を行くのは、晴れてもいないのに何の虹だろうか。宮殿は高く低く暗く迷よいやすく、西も東も解らない。歌を歌う台のあたたかい響きは、春の光の、のどかな様子。舞を舞う建物の冷たいそでは、風雨が身にしみる風情だ。１日の?に、１つの宮殿の中で、氣候は同じではない。六国の諸々の王の妃や女官、王子や子孫は樓を辞し宮殿を下って輦車に乗って秦にきた。朝に歌い夜に楽器をかなで、秦の宮人となった。明星の明るく小さく照り輝く様子は、化粧の鏡を開く様子。宮女たちの豊かな黒髪のやわらかなさまは、寝起きの乱れ髪をくしけずるのだ。渭流の脂っぽいのは、化粧の脂粉の水を棄てたため。煙斜めに霧が�陲錣襪里蓮�瓩蠅領匹な欧㌍�鯤欧い燭燭瓠Ｍ襪陵佑焚擦�燭舛泙繕辰�蓮�榲造亮屬硫瓩�覯擦修竜楴屬離乾蹈乾蹐箸いΣ擦箸靴討呂襪�鵑�吠垢韻襪茲Δ任修里罎�蠅鮹里蕕覆ぁ��枠�糧��琉燭觴圓詫橡董△靴覆鬚弔��美しさを極め、ひさしく立ち遠くを視て、寵愛を望む。見える事を得ない者が有る、36年。燕、趙の財宝、韓、魏の宝物、齊、楚の選りすぐりの品々、幾世幾年にして、その民より劫奪し、もたせかけ、積み重ねて山の様であり。一日で六国から運搬は出来ないその間至り来る。鼎は鍋、玉は石、金は土くれ、玉は礫、棄てて綿々と連なる。秦の人はこれを視るも、また甚だしくは惜いしとも思わない。　　ああ、一人の心は、千萬人の心だ。秦が豪華・奢侈を愛せば、民はまたその家を思う。なんでこれを取ること微細をつくして、これを用うること泥沙のごとくする。むなぎを背負う柱をして、農地の農夫よりも多く、はりを架ける樽をして、機上の工女よりも多く、釘の頭の輝きをして、蔵に有る粟粒よりも多く、瓦の継ぎ目の入り乱れて交錯する事は、全身の絹の糸筋よりも多く、縦横に連なる手摺りをして、中国全土の城郭よりも多く、音楽の乱雑で騒々しい様子して、市に集まる人の言語よりも多いのである。天下の人をして、あえて言はないがあえて怒らしむ。民心を失った暴君の心は、日にますます驕りたかぶり。辺境を守る兵卒叫んで函谷関が陥落する。楚人の一炬に、憐れむべしこの宮殿は焦土となった。ああ、六国（中国戦国時代末期の齊、楚、燕、韓、魏、趙の六国）を滅す者は、六國であって、秦ではない。秦を族（一族皆殺し）する者は、秦であって、天下の人民では無い。ああ、もし六國おのおのその民を愛せば、すなわち以て秦をふせぐに足りたろうに。秦はまた六國の民（たみ）を愛せば、則ち三世より遞（たが）いにして萬世に至りって君主だったろう、誰かへて族滅したろうか。秦の人は自ら哀しむにいとまがなく、後の人、これを哀しむ。後の人これを哀しんで、これに鑑（かんがみ）みなければ、また後の人をしてまた後の人を哀しませるだろう。
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	前赤壁の賦

	前赤壁の賦　書　き　下　し　文
	壬戌(じんじゅつ)の秋、七月既望(しちがつきぼう)、蘇子(蘇軾が自ら私と言う様な表現)客と舟を泛(うか)べて、赤壁の下に遊ぶ。清風徐(おもむろに)に来り水波興(おこ)らず。酒を舉(あげ)て客に屬(ぞく)し、明月の詩を誦し窈窕(ようちょう)の章を歌う。少焉(しばらくありて)りて月は東山(つきとうざん)の上に出で、斗牛(とぎゅう)の間に徘徊す。白露江に横たはり、水光天に接す。一葦(いちい)の如く所を縦(ほしいまま)にして、萬頃の茫然たるを凌(しの)ぐ。浩浩乎(こうこうこ)として虚に馮(よ)り風に御して、其の止まる所を知らざるが如く、飄々乎(ひょうひょうこ)として世を遺(わすれ)れて独立し羽化して登仙するが如し。是に於て酒を飲み楽しむこと甚だし。舷(ふなばた)を扣(たたいて)いて之を歌ふ。歌に曰く、　桂の櫂(さお)　蘭の漿(かじ)　空明に撃して流光に泝(さかのぼ)る渺渺(びょうびょう)たり予が懐(おも)ひ美人を天の一方に望む　と。　　　客に洞簫(どうしょう)を吹く者有り。歌に倚(よ)りて之に和す。其の聲、嗚嗚然(おおぜん)として、怨むが如く慕ふが如く、泣くが如く訴ふるが如く餘音、嫋嫋(じょうじょう)として、絶えざること縷(る)の如し。幽壑(ゆうがく)の潜蛟(せんこう)を舞はしめ?婦(りふ)を泣かしむ。蘇子、襟を正し危坐して而して愀然(しょうぜん)として「何為れぞ然るや。」と。客曰く「月明らかにして星稀にして、鳥鵲(うじゃく)南に飛ぶとは、此れ曹孟徳の詩に非ずや。西のかた夏口を望み、東のかた武昌望めば、山川相ひ繆(まと)ひ、蒼蒼たり、此れ孟徳の周郎(しゅうろう)に困しめられしところに非ずや。其の荊州を破りて、江陵を下り、流れに順ひて東するに方たりてや、舳艪(じくろ)千里、旌旗(せいき、または、しょうきか？)空を蔽ふ。酒を?(した)みて江に臨み、槊(さく)を横たへて詩を賦す。固(まこと)に一世の雄なり。而して今安くにか有る。況や吾と子と、江渚(こうしょ)の上に漁樵(ぎょしょう)し、魚鰕(ぎょか)を侶(とも)として麋鹿(びろく)を友とし、一葉の軽舟に駕し、匏樽(ほうそん)を挙げて以て相ひ属し、浮遊を天地に寄す、渺たる蒼海の一粟(いちぞく)なるおや。吾が生の須臾なるを哀しみ、長江の窮まり無きを羨む。飛仙を挟みて以て傲遊し、明月を抱きて長へに終へんことは驟(にわか)には得可からざるを知り、遺響を悲風に託す。」と蘇子曰く、「客も亦夫の水とを知るか。逝く者は斯くの如くなれども、而も未だ嘗て往かざるなり、盈虚する者は科の彼の如くなれども、而も卒に消長する莫きなり。蓋(けだし)し將(はた)其(そ)の変ずる者よりして之を観れば、則ち天地も會て以て一瞬なるに能はず。其の変ざる者よりして之を観れば、則ち物と我と皆、盡くる無きなり。而して又何をか羨まんや。且つ夫れ天地の間、物、各々主有り。苟(いやし)くも吾の有する所に非ずんば、一毫(いちごう)と雖(いえど)も取ること莫(な)し。惟(た)だ江上の清風と山間の明月とは、耳、之を得て聲を為し、目、之に遇ひて色を成す。之を取れども禁ずる無く、之を用ふれども竭(つ)きず。是れ造物者の無尽蔵なり。而して吾と子の適する所なり。」と。客喜びて笑ひ、盞(さかずき)を洗ひて更に酌む。肴核(こうかく)既(すでに)尽(つ)きて、杯盤(はいばん)狼藉(ろうぜき)たり。相ひ與(とみに)に船中に沈籍(ちんしゃ)し、東方の既に白むを知らず。
	前赤壁の賦　口　語　文
	壬戌(じんじゅつ)の秋、※陰暦の７月既望(しちがつきぼう)、私は客と舟を浮かべてべて、(昔の古戦場の)赤壁の下の岸に遊んだ。爽やかな風が静かに来て吹いて水の波も静か。客に酒を勧めて、※詩経の明月の詩を誦したりまた関しょの詩を歌ったりしていた(古い字なので字が入りません)。しばらくして月は東の山の上に出で、南斗星と牽牛星の間に徘徊していた。白い霧は江に横たって、月光の水面は天に接する様。一葦の如く所を縦にして、萬頃の茫然たるを凌ぐ。浩浩乎(こうこうこ)として虚に馮(よ)り風に御して、その止まる所を知らない様に、飄々として世を遺(わすれ)れて独立し羽が生えて仙人にな登る気分だ。ここにおいて酒を飲んで楽しむことはなはだ。舟を叩いて歌ふ。歌の歌詞には、　　　　(芳香)の桂の木の櫂(さお)さし　(芳香の)蘭の漿(かい)をとり　空明に撃して流光に泝る渺渺たり私の思い美人を天の一方に望む　と。　　　　　客に洞簫(どうしょう笛だろうと思う)を吹く人がいる。歌ってこれと合奏する。その聲、嗚嗚然(おおぜん)として、怨むように慕ふように、泣くよう訴ふえるよう餘音は細長く、絶えないこと糸の様。幽壑(ゆうがく)の潜蛟(せんこう※潜む、みずち、みずちとは龍がまた龍になっていない姿日本版で言えば鯉が滝を登る前みたいなイメージか)を舞はしめ?婦(りふ※未亡人)を泣かせてしまう。私は、愀然(しょうぜん)として「何んで悲しいのだろうか。」と。客人は言う「月は明らかで星は稀だ、　　鳥鵲(うじゃく)南に飛ぶ　　とは、この詩句は※三国志の魏王、曹操の詩だな。西の方に夏口を望み、東の方に武昌望めば、山川ともにまつわり、蒼蒼たり、このあたりは曹操の※三国志の呉の将軍周瑜、周郎(しゅうろうは美化した名前)に困しめられた所ではないだろうか。荊州を破て、江陵を下り、流れに順て東するに方に、(ひきいる)舳艪(軍船だとおもう)千里、(※曹操の魏の軍艦の旗)は空を蔽った。酒を?(たした)んで江に臨み、槊(ほこ)を横たへて詩を賦す曹操は(まこと)に一世の英雄なり。しかしながら今どこにいるのか。いわんや私とあなたと、江渚(こうしょ)の上に漁樵(ぎょしょう)し、魚鰕(ぎょか)を侶(とも)として麋鹿(びろく)を友とし、一枚の葉の様な軽舟に駕し、匏樽(ほうそん)を挙げて以て相ひ属し、浮遊を天地に寄す、渺たる蒼海の一粟なるおや。私の人生の一瞬なのを哀しみ、揚子江の窮まり無のを羨む。飛仙を挟みて以て傲遊し、明月を抱きて長へに終へんことは驟(にわか)には得られないことを知り、遺響を悲風に託す。」と私は言った、「君もまたその水と月の意味を知てるかい。逝く者はこの様な物だけれど、しかもいたまだかって往かないのさ、盈虚する者は科の彼のようだけれども、しかも卒に消長するのは無い。蓋し將其の変ずる者よりしてこれを観れば、すなわち天地もかってもって一瞬ではない。その変ならい者からこれをを観れば、すなわち物と私と皆は、尽きる事は無い。しかしながら又、何をか羨やむというんだ。かつそもそも天地の間、物は各々主が有り。いやしくも私の有する所にないのだ、一本の毛ともいえども取ることない。ただ江上の清風と山間の明月とは、耳はこれを得て声をなし、目はこれに遇ひて色を成す。これを取れども禁ずる無く、これを用ふれども竭きず。これ造物者の無尽蔵というものだよ。こうして私と君の思いがかなう所だよ。」と。客喜んで笑い、杯を洗ってさらに酒を酌む。肴はすでになくなって、杯は盤散らかった。相いともに船中によりかかりし、東の方の既に明けるのも知らなかった。
	後赤壁の賦

	後赤壁の賦　書　き　下　し　文
	是の歳十月の望。雪堂より歩して。將に臨皋に歸らんとす。二客予に從ひて　黄泥の坂を過ぐ。霜露既に降り。木葉盡く脱し。人影地に在り。仰で明月を見る。顧みて之を樂しみ。行き歌つて相ひ答ふ。已にして嘆じて曰く。客有れども酒無し酒有れども肴無し月白く風清し此の良夜を如く何かん客曰く今は薄暮網を舉げ魚を得、巨口細鱗状、松江の鱸の如く顧ふに安んぞ酒を得る所あらんや。歸って諸を婦に謀る。婦の曰く。我に斗酒有り。之を藏むること久し。以て子の不時の需めを待つと。是において酒と魚とを攜へて。復た赤壁の下に遊ぶ。江流聲有って。斷岸千尺。山高く月小に。水落ち石出づ。曾て日月の幾何にして。而て江山も復た識るべからず。予乃ち衣を攝げて上り。讒岩を履み。蒙茸を披き。虎豹に踞し。蚪龍に登り。栖鶻の危巣に攀じ。馮夷の幽宮に俯す。蓋し二客は從ふこと能はず。劃然として長嘯すれば。草木震動し。山鳴り谷應へ。風起り水湧く。予も亦悄然として悲しみ。肅然として恐る。凜乎として其れ留まるべからざるなり。反りて舟に登り。中流に放ちて。其の止まる所を聽きて休す。」時に夜將に半ばならんとし。四顧寂寥。適たま孤鶴あり。江を�陲�蠹譴茲衾圓襦ｆ造麓嵶悗稜，掘８湿惻憤瓠Ｘ�海箸靴督耕弔掘Ｍ修��鯲�瓩得召后�槫未砲靴撞匍遒襦Ｍ修睨鮨腓蠅暴△�０貽算里留�痊��箸靴椴怩┐硫爾魏�(ぎるを)夢(みる)。予に揖して言ひて曰く。赤壁の遊び樂しかりしかと。其の姓名を問へど俛して答へず。嗚呼（ああ）噫噫（ああ）我之を知れり。疇昔の夜。飛鳴して我を過ぐる者は。子にあらずやと。道士顧み笑ふ。予も亦驚いて悟む。戸を開いて之を視れば其の處を見ず。
	後赤壁の賦　口　語　文
	(翻訳中、暫くお待ち下さい)　　　　是の歳十月の望。雪堂より歩して。將に臨皋に歸らんとす。二客予に從ひて　黄泥の坂を過ぐ。霜露既に降り。木葉盡く脱し。人影地に在り。仰で明月を見る。顧みて之を樂しみ。行き歌つて相ひ答ふ。已にして嘆じて曰く。客有れども酒無し酒有れども肴無し月白く風清し此の良夜を如く何かん客曰く今は薄暮網を舉げ魚を得、巨口細鱗状、松江の鱸の如く顧ふに安んぞ酒を得る所あらんや。歸って諸を婦に謀る。婦の曰く。我に斗酒有り。之を藏むること久し。以て子の不時の需めを待つと。是において酒と魚とを攜へて。復た赤壁の下に遊ぶ。江流聲有って。斷岸千尺。山高く月小に。水落ち石出づ。曾て日月の幾何にして。而て江山も復た識るべからず。予乃ち衣を攝げて上り。讒岩を履み。蒙茸を披き。虎豹に踞し。蚪龍に登り。栖鶻の危巣に攀じ。馮夷の幽宮に俯す。蓋し二客は從ふこと能はず。劃然として長嘯すれば。草木震動し。山鳴り谷應へ。風起り水湧く。予も亦悄然として悲しみ。肅然として恐る。凜乎として其れ留まるべからざるなり。反りて舟に登り。中流に放ちて。其の止まる所を聽きて休す。」時に夜將に半ばならんとし。四顧寂寥。適たま孤鶴あり。江を�陲�蠹譴茲衾圓襦ｆ造麓嵶悗稜，掘８湿惻憤瓠Ｘ�海箸靴督耕弔掘Ｍ修��鯲�瓩得召后�槫未砲靴撞匍遒襦Ｍ修睨鮨腓蠅暴△�０貽算里留�痊��箸靴椴怩┐硫爾魏�(ぎるを)夢(みる)。予に揖して言ひて曰く。赤壁の遊び樂しかりしかと。其の姓名を問へど俛して答へず。嗚呼（ああ）噫噫（ああ）我之を知れり。疇昔の夜。飛鳴して我を過ぐる者は。子にあらずやと。道士顧み笑ふ。予も亦驚いて悟む。戸を開いて之を視れば其の處を見ず。