原田俊介のページへ

が」と言うと。女は「ええ、今度は井の頭公園で絵のモデルになります。私の家の近所の善福寺公園にも行って、一緒に食事でもし

ましょう」と約束して、その日は別れた。 それから教習所へ通いあと僅かで運転免許を得る時期が迫っていた。そうしている間に

女から2月の私の誕生日に井の頭公園で会おうと行って来た。その日は私の19歳の誕生日。清潔に心掛け濃紺の三揃えを来て出掛

けた。 私は公園のベンチで女を待つ時間、池を眺めながら昔の事を思い出していた。

妹と二人でベンチに腰掛けて楽しく語り合っていた昔の時の事………この公園に来た時の事を。 妹の横に座った私はわざと体を密

着して、しらっ、とした顔をして体重を妹の方へ傾けると。「やだ、お兄ちゃん、もう」私は「どうしたの?」と、惚けて聞く「体

重を掛けて、もう」「ええ、それは悪い悪霊の仕業だ!俺のせいじゃない」「直ぐ誤魔化すのね」私は、次にまた、しらっ、と妹の

お尻と胸に、顔は前を向いたまま触った。

 「キャーエッチ」「ええ……」「また悪霊のせいだ、そうだ、この手が悪いんだ、よし自分で折檻しよう」と私は自分の人差し指

と中指2本の指で手をピチ
ピチと「駄目じゃないか手め手め、この野朗」ふざけて叩いていると妹は「悪い手ね、私もお仕置をし

てあげるわ」と妹は、にゃ、と笑って言った。私は「自分の事は自分でやるからいいよ」言うと「いや、こいつ悪い奴だから思い知

らせてやるのよー」と私の手を取って思いきり妹はつねくった。

「いてて、いてて、いてて、御免」と私。「あら、つねった所が真っ赤になっちゃった可愛そう」と妹は「御免ね」と言って手に口

づけをした。

 「でも、お兄ちゃんが悪いのよ、お兄ちゃんは鼾が凄くて痔が悪くて助平で女の子に持てないわよ」「お前だって鼾をかくだろう

、それに俺にお嫁さんいなかったら、お前のお婿さんにしてくれ」「駄目だこりゃ」と妹。「今度、占い師にでもお兄ちゃんの事、

見てもらおう、どうせ助平でどうしようもないって言われるに決まっているけど」私は「そうだ占いで思い出した。お前の手相を

見てやる」と妹の手を取った。 私は、その可愛いらしい手と指を見て「もっと近くで見よう」と近ずけ、妹の指先に目を閉じて口

づけをしてしまった。

そして、「お前は必ず幸せになれる、いや、お前を不幸にする奴は俺が殺してやる」と私は言った。

前頁−30−次頁
目次へ戻る