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結婚はするよ」私は誤魔化した。 次の日、私は家族に内緒で通勤の途中に家に帰った。つまんなかったからだ、すると女から手紙

が来ていた。それには。 前略、私は四国の出身です。

貴方は知っているでしょうか?新平民という人達を私はその血を引く物です。日本の企業は私達の出身地のリストを載せた本を大き

な企業なら必ず持っています。私は辛かった、どうしてそんな差別を私達が受けなければならない

の?私達の宗教は浄土真宗です。でも、私達が死ぬと、その戒名にさえ「皮」という字が入って死んでからも差別されんです。 或

る時、心の優しい女の人の家に用で行くと、上がっていけと何時もいわれるのです。私達、上がれないんです、貴方達に差別される

人間の苦しみが解りますか?いえ、解からないでしょう。私はそんな事がなにもかも嫌になり中学を出ると東京へ飛び出しました。

でも、東京は悲しい事ばかり、何人もの男に騙され身も心も、ぼろぼろ、お金で囲われ物になったことだってある。望まぬ妊娠で子

供を中絶し自分の子を殺した罪の意識が、ふと過ぎたりもします。私は娼婦と同じ、お金で身をぐ女です。慣れるとお金は恐ろしい

、何時のまにか
こんなになってしまった、紐は運良く居ないけど。でも、私は知っている、貴方が私のそんな過去を知っていたって

私を愛してくれることを貴方は誠実な人だと直ぐ解った。 私も貴方の為だったら死ぬ事など簡単に出来ます。でも、貴方にはもっ

と良い女性が必ずいると思います。と書いた後に詩が書いてあった。

 太陽のように暖かく月のように優しい貴方。星の様にキラキラと私の暗闇に輝き、彗星のように心ときめかせた貴方。私は汚い雲

、太陽の光を遮り、星の瞬きを泣かせてしまう。 白い絵の具の中に混じる小さな黒い絵の具、貴方の人生を灰色にする。でも必ず

必ず私は遠くでポーラースター(北極星)の様に今は姿を隠していても貴方を見守ります。

貴方が波に打ちひしがれた難破船になっても、その時こそ羅針盤の様に導くでしょう。貴方の命の灯となって。と、さらに手紙は続

く。貴方とは普通の女の子として巡り合いたかった。貴方はまだ、やり直せる貴方は私のたった1人の大事な人、今はとても悲しい

」と書いてあった。

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