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(香道心持ちの事) |
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一、たき組の香の興行有れば其の人数の方へ兼日に理を申し、香の数持ちて出られ、縁をよく取り合ひてたかれ候様に有るべく候。凡そ連歌の付け合ひなどに相似候か。雲井とたかれ候はば有明とたき、又うたたねとたく時はねざめなどとたくやうに有るべく候。四季の香恋の香などいずれも縁をよく取り合わせたかれ候事尤もにて候。さりながらよき候斗りはありがたき子細に候間、香数多く通り候はさのみ縁にかかわられまじく候也。 |
一、?継の香会を催すことが有れば出席者の方へ前もって香会の説明をし、適当な数の香持って出席するようにしていただく、(その場合)前後の香の縁をよく取り合せて?くのがいいでしょう。全般に連歌の時の様な折りの付け合せのようにするのです。雲井と云う名の香木に縁の有る有明と縁の有る感じの香を?くのです。また転寝と?たく時は寝ざめなどと?くようにするのです。四季の香や恋の香なども縁をよく取り合わせて?くのです。しかしながら品質の良い香木ばかりき?くことはありえないので、香を数多く?く時は縁ばかり考える必要は有りません。 |
香道秘伝書1ページめ 香道秘伝書2ページめ 左のページ6行目まで |
一、当座にもよし候香には縁を合わされ候はず共、たかれ侯はば然るべく候。但し又縁をよくたかれ候へば尤も比類無き子細に候。俄かの興行には縁をよくよく取り合はす事成り難く候間、持合香をたかれ苦しからず候也。 |
一、当座に催す香会には前後の香の縁を合わせないで?かないでもいいのです。ただしまた縁をよく?けばそれにこしたことはありません。急に催す香会では(香の名前などの)縁をよくよく取り合わせて?かくことは難しいことでしょうですから持ちあわせの香を?いてもかまいません。 |
右のページ6行目から香道秘伝書3ページめ左のページは2行目まで |
一、香をたく事会主はじめてたき然るべく候。但し座体により誰々成り共たかれくるしからず候。香炉に火取り、人修中へ然るべくたかれ候へと礼を申して焼くべき事に候。聞く時は座上聞きて一とおり通りて、扠香主の前へ来て、又をし返し一とおりをし二度宛何れも返さるべく候。去りながら十人より上は一通りにて置かるべき也。 |
一、香を?くには香会の亭主から?きはじめるのが良いのだけれど。ただし会の様子に依っては誰でも?かれて結構ですと。香炉に火を取り、連衆(お客の衆)に適宜に?て下さいと挨拶して?いてもいいのです。聞香をする時は上座から聞香をして一通り聞き終わって、また香炉が亭主の前へ来て、また逆さに巡らし一通りすませ二度まで逆さまに返すのです(面倒臭いです)。しかしながら10人以上は一通り聞香して返さないで終わります。 |
右のページ6行目から香道秘伝書4ページめ左のページは2行目まで |
一、香聞かるる時老若共に身に相似候体覚悟有るべく候。子細候若年の人は香のこと分別行き候へ共、聊かもこうしゃぶりは無用に候。かほりを久敷く聞く事も、うかめだてにてうはの空に聞く事も、うかめだてにてぶしうしんに見え候てわろし。座中の老人の上より香をかんじ名などども他人に尋ぬる体尤もに候。老若共に久敷くかほりを聞く事然るべからず候也。 |
一、聞香の時は老いも若きも身にあった様子を心に定めて下さい、香の事を理解しあたかも巧者の様に振舞うのは無用にねがいます。香を(独り占めして)長く聞香するのは良くないことです、直ぐに解った様子に上の空で聞香することも、直ぐに解った様子でうわべだけで聞香しているようで良くありません。座中の老人の様子から香を観賞し香銘などども他人に尋ねる風情は似つかわしいのです。老若共に長く聞香し香を聞く事は宜しくないのです。 |
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一、香聞くに香炉を前へ引きかたぶけて聞くはわろし。ぎんも時によりてはしり候。又香もぎんの上をはしり灰へおち候。らんじゃたい返し九度たく迄所持候をさる人かうろあしく持たれ候て此の名物はしり候。十度迄たかずうしなひ候也。
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一、香を聞時に香炉を前へに傾けて聞くことは良くありません。(傾けると)銀葉(雲母の板この当時は本当の銀の板だったのかもしれませんが良く解りません)も時によっては滑ってしまいます。また香木も銀葉の上を走って灰へ落ちてしまいます。蘭奢侍(正倉院の名香で10度まで繰り返し聞香が出来ると言われるがそんな事が出来るわけがないので伝説であろう)の繰り返し返し9度も繰り返し聞のを大切にしていたのに或る人が悪い聞き香炉の持ち方でこの名物の蘭奢侍が走ってしまって。10度まで聞くことが出来たのに失ってしまったと云う事です。 |
ポップアップの左ののページ初めより6行目まで香道秘伝書5ページめ |
一、香炉取り上げてはないき荒く聞き、手にてかほりをまねきく事さたのかぎり有る間敷き子細候也。 |
一、香炉を手で取り上げて鼻息が荒く聞き、手で香をまねんようにして聞くのはとんでもなくしてはならないことです。 |
ポップアップの左のページ初めより6行目まで香道秘伝書5ページめ |
一、香の会とふられ罷り出づる日は空焼有る間敷く候。申すに及ばずたき物など取り扱ひあるまじく候。又かけかうなども無用也。 |
一、聞香の会の案内を受け出席する日は空?(練香のことか香を楽しんで衣類に香を移して楽しんでいたようです)をして衣類に香を薫しめず薫物(練り香と思われる)など取り扱い香をたきしめたりまた部屋に懸ける香も無用の事です。 |
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一、茶の湯会の時も茶過ぎて香を出だすべしと存じ候日は前々申す如く空たき、ふろ、いろりなどへくべ候事無用に候。余所にても茶の湯会にそらだきなくば必々香出づべしと存じ候て兼ねてたくべき香を覚悟有るべく候也。 |
一、茶の湯の会の時も茶の給仕が済んで香を出だそうと思った時は前々から言っていたように空?の香の風炉、囲炉裏などに?いてはなりません。余所で茶の湯の会に空?が無ければきっと香が出るはずだと思いかねてから?こうと思う香を決めていることです。 |
ポップアップの右のページ3行目から最後香道秘伝書6ページめ |
一、ぎんに香こがれ付き候とて火にくべやく人あり あやまり也。何時もこがれ付き候はば小刀にてこそげおとして置く也。 |
一、銀葉に香木から焦げ付き出た油がついたと言って火にく炙っる人が有ります。これは誤っています。焦げ付きの時は小刀でそぎ落とすのです。(今はマニキュアの除香液か50℃くらいのぬるま湯に漬けて綿棒で取る方が危なくないのでこれは間違いです) |
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一、ぎんの置き取りと云うは、香ばしとゆびにてぎんのすみをはさみ香ばしをゆびより下にして、かうろに置き取る時も同前に候。又ゆびにて箸よせすにも置きて取り苦しからず。 |
一、銀葉を香炉の中へ置たり取り去ったりは、香箸と指で銀葉の隅をはさみ香箸を指より下にして、香炉に置き取る時も同じ扱いです。また指で箸で取り寄せても良いです。(現在は専用の道具があります) |
ポップアップの右のページ5行目から左のページは1行目まで香道秘伝書9ページめ |
一、香を人に所望し候時一たきと云ふは悪し。一?御焼き候へと所望する也。 |
一、香を人に所望して一?と言ってはなりません。(ふんどし一丁と同じ下品な言葉遣いです)一?御?下さいと(丁寧に)所望して下さい。 |
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一、香炉に火取りてかうろ底へ火つよくとをり香炉あつく候て持ちにくき事、其の時はきれい成る物に水を入れて香炉を三分程底をひやして出す物也。 |
一、香炉に火を取って香炉の底に火が強く通り香炉が熱く持ちにくき事、その時はきれい成る物に水を入れて香炉を三分程ひたし底を冷やして出す物です。
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