香道秘伝書
原文の下の太い字香道秘伝書1ページめとかの字(ページの番号は便宜上つけた物です。原本についているわけでは有りませんし正確では有りません)をクリックするとそれに相応した文章を御覧頂けますポップアップを最大化して御覧下さい。また原本には漢文読みの所はわざわざ前の本の所有者が返り点を打ってくれていますのでそれに随って読むようにして下さいそうすると読めます。また(ト)と書いてある所は将棋の成り金(と)ではなく候(そうろう・そうろふ※今めかしい言葉でいうとございますてな感でしょうかか解りませぬすみません)と読むと矛盾なく読めます。入力ミスが有りますし専門家でないので文章も変だと思います。解らないことやさらに深く興味のある方は香道の先生に聞いて下さい。 横は意味のない悪戯で使用している記号です。意味は考えないで下さい  windows  resizable=1 
香道秘伝書 上-建部隆勝[授];([翠竹庵道三]([筆]websiteへのリンク
建部隆勝 著  書は翠竹庵隆勝(曲直瀬道三)まなせどうさん1507(永正4)〜1595(永禄4)安土桃山時代の医家
本の概要は名香合わせ、?継の香道から組香主体の香道に移行の過程期で、秘伝で重じられた文を集めています。
下の方で原文を僅かですが掲載しそれを抄訳しています。御覧下さい。
下の画像は早稲田大学の蔵書、香道秘伝書、書は翠竹庵隆勝(曲直瀬道三)
古典籍デターベース
この書籍を見られると云う事は本を写本した人が大変有名な人なので驚きました。私はたいそう嬉しく思いましたさすがは天下の早稲田大学です。本の画像はリンク設定してあり死ぬほど見られますのでそちらを御覧下さい。
曲直瀬道三肖像
構成

本は上下二巻、上巻は「香道心待ちの事」の所で?き組の香を行う手順・作法・心得。香を継ぎは連歌のように縁をよく取り合わせ組むこと。香炉の灰、薫物(練香)の扱い、香炉の渡し、灰の押しな注意が続きます。「別而秘伝」39と(あとがき)まで「文亀元年(1501)9月宗信」となっています。「名香合」と「永禄元年(1558)省」とあるのは、三条殿から特別に相伝した宗信・省巴の教示です。「香炉渡し申す次第の事」は香道具扱い、貴人・下輩・女人との受け渡し作法、香炉飾り、故事、掟が32項目32、うち「11種名物の香の事」は『山上宗二記』(茶の湯の書)にある十?の香と追加六種の中の園城寺の11で。名木木処で伽羅・新伽羅・羅国・真那蛮・真那賀の5つがあげられます。代表的な香木銘が木処別の70紹介されます。「名香聞の事」として、法隆寺から上馬まで名高い61種名香が解説されて上巻が終る。下巻は、しゅうげんの時、うらみの時、はなみの時などの香次第、四季の灰、?法聞き方に続いて、有名な「雪月花集」その他名香があり、続に代表的な10の組香が解説されます。

隆勝入道度殿
各編の署名は16世紀後半元亀・天正(1570〜92)のころです。著者の香道上の隆勝の功績は、二つあるとされています。隆勝は当代香道の第一人者と目されていた事。次に香道成立史上画期的な「木処」が隆勝の考案とされています。しかし、後に六国とされた「木処」もここではまだ四国です(『山上宗二記』も名香木を四国の木処で説明しています)。、佐々木道誉のころからは香銘だけで昔は香木を判断分類していたのに、隆勝のころから木処で特徴を考えるようになったところ、隆勝のやり方に同調する人が増えてきたというのです。「木処」とは香木を産地により分類できるとかんがえたのです。この本では伽羅・新伽羅・羅国・真那蛮・真那賀の五種それぞれに分類される香木を香銘で示しています。この五つは、伽羅と新伽羅は古と新で一つですから四つの国名なのです。しばらく後に四国に佐曽羅と寸門多羅が加わり六国となり、現在まで木処は六国に決まっているのです。また有名な61種名香が揃って世に現れたのもこれが最も古い文献です。建部隆勝は江州(滋賀県)佐々木承禎(観音寺城主)の武将で後に信長に従ったとされます。本書に収録した隆勝の門下には坂内宗拾、蜂谷頼重、織田有楽、天王寺屋宗友、千宗易(利休)、蜂谷宗悟という錚々たる名があげられています。重要人物て゜すが隆勝についてはほとんど解っていません『日本百将伝一夕話』『古老茶話』『名人忌辰録』などに登場する建部匠頭賢文幼名弦蔵が隆勝の前身らしいといううだけで、まだ確認できません。賢文が隆勝であれば、佐々木承禎の武将で江州建部城主であり、蓑作の城主であったわけです。織田信長に滅ぼされ、浪客となった能書であったので神君(徳川家康)の祐筆(文章に携わって使える者)となったというのです。さらに『菅原伝授手習鑑』の式部源蔵のモデルがこの祐筆の賢文であるというのです。建部隆勝の実在は疑はなくだが生涯はほとんどはわかりません。わずかに香道成立史に燦然たる光茫をはなっています。
上は原文
口語文
(香道心持ちの事)
一、たき組の香の興行有れば其の人数の方へ兼日に理を申し、香の数持ちて出られ、縁をよく取り合ひてたかれ候様に有るべく候。凡そ連歌の付け合ひなどに相似候か。雲井とたかれ候はば有明とたき、又うたたねとたく時はねざめなどとたくやうに有るべく候。四季の香恋の香などいずれも縁をよく取り合わせたかれ候事尤もにて候。さりながらよき候斗りはありがたき子細に候間、香数多く通り候はさのみ縁にかかわられまじく候也。
一、?継の香会を催すことが有れば出席者の方へ前もって香会の説明をし、適当な数の香持って出席するようにしていただく、(その場合)前後の香の縁をよく取り合せて?くのがいいでしょう。全般に連歌の時の様な折りの付け合せのようにするのです。雲井と云う名の香木に縁の有る有明と縁の有る感じの香を?くのです。また転寝と?たく時は寝ざめなどと?くようにするのです。四季の香や恋の香なども縁をよく取り合わせて?くのです。しかしながら品質の良い香木ばかりき?くことはありえないので、香を数多く?く時は縁ばかり考える必要は有りません。
香道秘伝書1ページめ    香道秘伝書2ページめ 左のページ6行目まで
一、当座にもよし候香には縁を合わされ候はず共、たかれ侯はば然るべく候。但し又縁をよくたかれ候へば尤も比類無き子細に候。俄かの興行には縁をよくよく取り合はす事成り難く候間、持合香をたかれ苦しからず候也。
一、当座に催す香会には前後の香の縁を合わせないで?かないでもいいのです。ただしまた縁をよく?けばそれにこしたことはありません。急に催す香会では(香の名前などの)縁をよくよく取り合わせて?かくことは難しいことでしょうですから持ちあわせの香を?いてもかまいません。
右のページ6行目から香道秘伝書3ページめ左のページは2行目まで
一、香をたく事会主はじめてたき然るべく候。但し座体により誰々成り共たかれくるしからず候。香炉に火取り、人修中へ然るべくたかれ候へと礼を申して焼くべき事に候。聞く時は座上聞きて一とおり通りて、扠香主の前へ来て、又をし返し一とおりをし二度宛何れも返さるべく候。去りながら十人より上は一通りにて置かるべき也。
一、香を?くには香会の亭主から?きはじめるのが良いのだけれど。ただし会の様子に依っては誰でも?かれて結構ですと。香炉に火を取り、連衆(お客の衆)に適宜に?て下さいと挨拶して?いてもいいのです。聞香をする時は上座から聞香をして一通り聞き終わって、また香炉が亭主の前へ来て、また逆さに巡らし一通りすませ二度まで逆さまに返すのです(面倒臭いです)。しかしながら10人以上は一通り聞香して返さないで終わります。
右のページ6行目から香道秘伝書4ページめ左のページは2行目まで
一、香聞かるる時老若共に身に相似候体覚悟有るべく候。子細候若年の人は香のこと分別行き候へ共、聊かもこうしゃぶりは無用に候。かほりを久敷く聞く事も、うかめだてにてうはの空に聞く事も、うかめだてにてぶしうしんに見え候てわろし。座中の老人の上より香をかんじ名などども他人に尋ぬる体尤もに候。老若共に久敷くかほりを聞く事然るべからず候也。
一、聞香の時は老いも若きも身にあった様子を心に定めて下さい、香の事を理解しあたかも巧者の様に振舞うのは無用にねがいます。香を(独り占めして)長く聞香するのは良くないことです、直ぐに解った様子に上の空で聞香することも、直ぐに解った様子でうわべだけで聞香しているようで良くありません。座中の老人の様子から香を観賞し香銘などども他人に尋ねる風情は似つかわしいのです。老若共に長く聞香し香を聞く事は宜しくないのです。
右のページ7行目から香道秘伝書4ページめ次のポップアップの右のページ全て香道秘伝書5ページめ
一、香聞くに香炉を前へ引きかたぶけて聞くはわろし。ぎんも時によりてはしり候。又香もぎんの上をはしり灰へおち候。らんじゃたい返し九度たく迄所持候をさる人かうろあしく持たれ候て此の名物はしり候。十度迄たかずうしなひ候也。
一、香を聞時に香炉を前へに傾けて聞くことは良くありません。(傾けると)銀葉(雲母の板この当時は本当の銀の板だったのかもしれませんが良く解りません)も時によっては滑ってしまいます。また香木も銀葉の上を走って灰へ落ちてしまいます。蘭奢侍(正倉院の名香で10度まで繰り返し聞香が出来ると言われるがそんな事が出来るわけがないので伝説であろう)の繰り返し返し9度も繰り返し聞のを大切にしていたのに或る人が悪い聞き香炉の持ち方でこの名物の蘭奢侍が走ってしまって。10度まで聞くことが出来たのに失ってしまったと云う事です。
ポップアップの左ののページ初めより6行目まで香道秘伝書5ページめ
一、香炉取り上げてはないき荒く聞き、手にてかほりをまねきく事さたのかぎり有る間敷き子細候也。
一、香炉を手で取り上げて鼻息が荒く聞き、手で香をまねんようにして聞くのはとんでもなくしてはならないことです。
ポップアップの左のページ初めより6行目まで香道秘伝書5ページめ
一、香の会とふられ罷り出づる日は空焼有る間敷く候。申すに及ばずたき物など取り扱ひあるまじく候。又かけかうなども無用也。
一、聞香の会の案内を受け出席する日は空?(練香のことか香を楽しんで衣類に香を移して楽しんでいたようです)をして衣類に香を薫しめず薫物(練り香と思われる)など取り扱い香をたきしめたりまた部屋に懸ける香も無用の事です。
ポップアップの右のページ8行目から左のページ2行目まで香道秘伝書6ページめ
一、茶の湯会の時も茶過ぎて香を出だすべしと存じ候日は前々申す如く空たき、ふろ、いろりなどへくべ候事無用に候。余所にても茶の湯会にそらだきなくば必々香出づべしと存じ候て兼ねてたくべき香を覚悟有るべく候也。
一、茶の湯の会の時も茶の給仕が済んで香を出だそうと思った時は前々から言っていたように空?の香の風炉、囲炉裏などに?いてはなりません。余所で茶の湯の会に空?が無ければきっと香が出るはずだと思いかねてから?こうと思う香を決めていることです。
ポップアップの右のページ3行目から最後香道秘伝書6ページめ
一、ぎんに香こがれ付き候とて火にくべやく人あり あやまり也。何時もこがれ付き候はば小刀にてこそげおとして置く也。
一、銀葉に香木から焦げ付き出た油がついたと言って火にく炙っる人が有ります。これは誤っています。焦げ付きの時は小刀でそぎ落とすのです。(今はマニキュアの除香液か50℃くらいのぬるま湯に漬けて綿棒で取る方が危なくないのでこれは間違いです)
ポップアップの右のページ行目から4行目まで香道秘伝書9ページめ
一、ぎんの置き取りと云うは、香ばしとゆびにてぎんのすみをはさみ香ばしをゆびより下にして、かうろに置き取る時も同前に候。又ゆびにて箸よせすにも置きて取り苦しからず。
一、銀葉を香炉の中へ置たり取り去ったりは、香箸と指で銀葉の隅をはさみ香箸を指より下にして、香炉に置き取る時も同じ扱いです。また指で箸で取り寄せても良いです。(現在は専用の道具があります)
ポップアップの右のページ5行目から左のページは1行目まで香道秘伝書9ページめ
一、香を人に所望し候時一たきと云ふは悪し。一?御焼き候へと所望する也。
一、香を人に所望して一?と言ってはなりません。(ふんどし一丁と同じ下品な言葉遣いです)一?御?下さいと(丁寧に)所望して下さい。
ポップアップの左のページ2行目から7行目まで香道秘伝書8ページめ
一、香炉に火取りてかうろ底へ火つよくとをり香炉あつく候て持ちにくき事、其の時はきれい成る物に水を入れて香炉を三分程底をひやして出す物也。
一、香炉に火を取って香炉の底に火が強く通り香炉が熱く持ちにくき事、その時はきれい成る物に水を入れて香炉を三分程ひたし底を冷やして出す物です。
ポップアップの右のページ4行目から3行目まで香道秘伝書10ページめ
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