哀れなる魂  破の段 第5部 東京五輪の日に

さんは実家の墓に葬ったが、お父さんの墓は無い。君がちゃんとした墓を建てるまで、だって君は中学3年

だもの、私がお父さんのお骨を預かろう」と言っ
て俺の骨は自分が手伝い、仏画を書いた納骨堂へ置かれた

 しかし俺の悲劇は死んでからも続いた。手違いで無縁仏のお骨と俺の骨が分からなくなってしまったのだ

。俺が死んだのは昭和39年、東京オリンピックが華やかに始まり空にはジェット機が5輪を作った、その

日だった。
 

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