哀れなる魂 序の段 第1部 不思議な老人 |
カットも、ドロップ、マーキス、ハートカット、ローズカット、ブリオネットなど色々なカットがあった。 「何と豪華な!」と私は瞬間悲しみとも無気力とも分からぬ感情が身体に広がるのを感じた。鹽谷温の詩 古代エジプト人は死後2000年にして亡骸が保存されいいれば蘇る、と信じ死者の内臓を4っのカノピ しかし、国は滅び貴人は蘇らず墓は暴かれた。暗い玄室、重い地下の溶岩の様な暗い閉鎖的な情念の気配 私の眼前に美しいが不気味な人形棺や貴人の黄金のディスマスク。昔、古本の鼻を突く匂いの中で見た蘇 この婦人も死んでは高価な富みも空しいと言う悲しみと古王朝、中王朝、新王朝の長きに渡って、ほとん メソポタミア文明が変化流転を繰り返した文化芸術であったのにエジプトは殆ど様式の変化に乏しかっ。 |
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あれは私が中学2年の時でしょうか杉並区だと思いますが河を埋め立てその上に盛り土をした遊歩道が有りました。一緒に居たのは同級生の小林裕二君だったでしょうか覚えておりませんふと下の地面を見ると排水溝に良くある鋳鉄の格子状の蓋の上に居る事に気付きました。上から見る構内は広くやっと内部を見る事が出来た記憶が有ります。もう黄昏時で当たりは顔が仄かに見える程度の光だったでしょうか尚もしつこく見ていると老人が居たので「この下の部屋は何ですか?」「身寄りの無いお年寄りの納骨堂だよ」それだけで終わりです。しかし妙にその記憶は印象に残りその日は余り寝付かれなかった様な気がします。その理由はハムレットの戯曲の中に彼を可愛がっていた道化だったと思いますがその死から数年を経てその道化の遺骨を見て感慨を陳べる台詞が有るのですがその様ななにか無常感を感じたそれと同様な物を子供心に深く感じたのかもしれません(ハムレットの場面は記憶違いかもしれません)そしてその場所にはその後二度と訪れてはいませんしもう場所も解りませんし行けないかもしれません何と申しましょうか人生の終焉のそれも暗い印象として心に残ったのでしょうか。下は世田谷区豪徳寺これも昔、兄とどちらが言い出したのか豪徳寺にでも行ってみようか真夏の暑い日その時、偶然納骨堂が開いており仏様が見えました。(弥勒菩薩です)この二つの印象がこの物語の部品になっています。物語は全くのフィクションですがもしかしたら全国のどこかに河川敷に納骨堂など或る所もあるかもしれません。人の思い出は妙な所で物語の部品になったりする物です。 | ||
豪徳寺紹介有ります。 | ||
「そうだ座禅をしよう。次いでにここで眠くなったら寝てしまおう、まさかとは思うが、この装身具を盗む とその時、重苦しい恐ろしい気配を感じた。ズシ、ズシと廊下を迫る確かに人の気配それも大きな男だ。 私はなぜか直感でそう思った。瞬間、直ぐ泥棒と思った。古代エジプトでも多くの財宝が盗まれた。盗ま ば、焦るほど動こうと思えば思うほど、その努力をあざ笑うかの様に努力は逆転した。 「体力では誰にも引けを取らない俺が、畜生!」蚊取り線香以外は暗黒が支配する本堂に男はやって来た そしてズシ、ズシ、と重い足音を残して去って行った。 彼が去ると、私は不思議と体を動かす事が出来た 私は、この泥棒はヤクザの秦だと分かった。こんな時、体が動かないなんて、悔しい、そして何と言う愚劣 亡骸を盗まれたのを誰も気付てはいない。15日まで棺を覗くのは俺だけだ。婦人は玉川の河原にでも装 私は昨日の事を、ありありと思いだし計画を実行するために急いでいた。奴を殺す時間が迫っているから 私は急いで家を出た。雀荘で知り合ったヤクザ。これは秦に対立するヤクザが、私に冗談で奴を殺せば助 |
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